格闘する者に⚪︎

格闘する者に⚪︎

著:三浦しをん

 

 

大好きな三浦さんのデビュー作。 自身の就職活動をベースに描かれた物語で、同じく出版社を受けた身としては面白かった。

 

各出版社の雰囲気だったり、退廃的な大学生の様子だったり、現実的でもあり、空想的でもある感じが良かった。 ご本人的にはあまり納得のいく出来ではない、と語っているようだが、デビュー作から「三浦しをん」の世界、そして読みやすい文体は確立されていたのだな、と。

 

そして、この作品で特にテーマとされていないけれど、ひっそりと潜んでいるのがジェンダーの問題。

主人公が出版社を受けた時の仕打ちは、今では考えられない待遇とはいえ、当時の出版界には蔓延っていたのだろうな。 「女はお茶汲み」 という潜在意識がそうさせている。

 

この描写を2000年に、しかもデビュー作で描いているとは。

舟を編む」を改めて読みたくなった。