東京藝大物語

東京藝大物語
著:茂木健一郎



東京藝術大学で5年間非常勤講師を勤めた茂木氏による、フィクションでありノンフィクションである小説。


東京藝大のユニークな学生たちや、アートへの向き合い方、困難な入試、社会に飛び立つ前の卒業制作。

登場人物が実在するかどうかは関係なく、これはノンフィクションだと感じた。

そしてこれはかなり主観だけれども。
芸術大学というのは、他の大学よりもより教師と学生の距離が近いのではないだろうか。

自分の大学時代も、休日に一緒に美術館や演奏会に行く、ホームパーティーに呼ばれるという話を聞いた。
そして、「経験」をさせるために鞄持ちのようなことをさせる事も多かった。


それはある意味、芸術大学の教師と学生は、比較的対等で、違うのは経験だけ、だからではないだろうか。

もちろん学生は技術も未熟だろうが、才能の有無は年齢に関係がない。
大学で教えられることもあれば、教えられないことも多いはずだ。


そして「アート」という言葉のもとに自由に、そして自由になろうともがく学生の姿は、読んでいてヒリヒリした。

小説というより、かなり茂木氏の日記的な要素が強く、文章も読みやすいとはいえないが、勢いがあって楽しく読破してしまった。

ひとつ、脳科学者である茂木氏のかなり気になる記述が。
「色は光の波長の長さで決まる。しかしそれは相対的なものである」

なんと...。色の波長自体で色が見えているのではなく、周りの波長との違いでその色に見えているということ...?
色ってなんて曖昧なんだ。。。