ずっとお城で暮らしてる
著:シャーリィ・ジャクスン
本屋さんで見かけ、タイトルと装丁に惹かれて。
久々に「他の作品も読みたい!」と思う作家さんだった。
やはりどうしてもアメリカ文学が好きらしい。
ストーリーは、一家惨殺が起こった屋敷で暮らす姉妹の日々。
閉鎖された空間で、自分たちのルールに則って、厳かに暮らしている。
そこに現れた客人によって、そのバランスが少しずつ狂ってきて……というもの。
姉妹の日々は正直異質で、普通ではないのに、読者としては客人によってバランスが狂う様が許せなくなる。
元の2人の世界に戻して!と思ってしまう。
日常と非日常の境を描く作家のようで、ホラーや恐怖小説に分類されることが多いらしい。
以前読んだ「絶望図書館」にも収録されていた。
個人的には彼女が子育ての様子を描いた「野蛮人との生活」が読みたいのだけれど、絶版(古本屋サイトで2万越え)だし、図書館にも入っていない…。
国会図書館にはもちろんあったけれど、持ち出せないし…。読みたいなあぁ〜
とりあえず他の作品を漁ってみよう。
格闘する者に⚪︎
著:三浦しをん
大好きな三浦さんのデビュー作。 自身の就職活動をベースに描かれた物語で、同じく出版社を受けた身としては面白かった。
各出版社の雰囲気だったり、退廃的な大学生の様子だったり、現実的でもあり、空想的でもある感じが良かった。 ご本人的にはあまり納得のいく出来ではない、と語っているようだが、デビュー作から「三浦しをん」の世界、そして読みやすい文体は確立されていたのだな、と。
そして、この作品で特にテーマとされていないけれど、ひっそりと潜んでいるのがジェンダーの問題。
主人公が出版社を受けた時の仕打ちは、今では考えられない待遇とはいえ、当時の出版界には蔓延っていたのだろうな。 「女はお茶汲み」 という潜在意識がそうさせている。
この描写を2000年に、しかもデビュー作で描いているとは。
「舟を編む」を改めて読みたくなった。
こいぬとこねこのおかしな話
シャクルトンの大漂流
東京藝大物語
東京藝大物語
著:茂木健一郎
東京藝術大学で5年間非常勤講師を勤めた茂木氏による、
東京藝大のユニークな学生たちや、アートへの向き合い方、
登場人物が実在するかどうかは関係なく、
そしてこれはかなり主観だけれども。
芸術大学というのは、
自分の大学時代も、休日に一緒に美術館や演奏会に行く、
そして、「経験」
それはある意味、芸術大学の教師と学生は、比較的対等で、
もちろん学生は技術も未熟だろうが、
大学で教えられることもあれば、教えられないことも多いはずだ。
そして「アート」という言葉のもとに自由に、
小説というより、かなり茂木氏の日記的な要素が強く、
ひとつ、脳科学者である茂木氏のかなり気になる記述が。
「色は光の波長の長さで決まる。
なんと...。色の波長自体で色が見えているのではなく、
色ってなんて曖昧なんだ。。。
二番目の悪者
二番目の悪者
著:林 木林
装丁やイラストが素敵で、期待ワクワクで読んだ。
が、内容が説教くさくて苦手であった。。。
小学生向けの絵本や児童書で、そこに教訓を入れるにしても、
ストーリー的には、「自分が一番」
これはワガママなライオンが悪かったのか?
噂を自分の目で確かめず、責任転嫁をしていた国民ではないか?
という教訓。
傍観が罪である、というテーマはとても良い。
だったら、この國の滅亡をもっと客観的に描いて欲しかった。
要所要所に説教くさい一言が挟まっていて、
これは全く私の主観だけれど、
直接的に、言わなくていいことまで言ってしまう。
私の好きなクリス・ホートンの絵本だったり、
悪いことをして、本人が困って、
そうすると、笑いながら、ちょっとほろりとしながら、
それがひとつの絵本の役割ではないだろうか。
色彩の息子
著:山田詠美
色にまつわる12編の短編集。
素敵なコンセプトだったけど、ストーリー的にはそこまで好みではなかった。
基本的に男女の少しドロドロとした展開が多くて、エロティックな描写が多い。
山田さんの、直接的ではないのに”そう”としか感じられない絶妙な表現が好きな身としては、ちょっと違ったかなーという印象。
でも
「白熱電球の嘘」
「黒子の刻印」
は好きだった。
特に「黒子の刻印」は、人の劣等感が具現化されると、なるほどこういったものになるのかも、と感じた。
劣等感を感じつつ、それを乗り越えて幸せを手にしたのに、結局劣等感からそれを失う羽目になる。
「悔しい」とか「いいな」とか、人を羨む気持ちは力にもなるけれど、自分の足枷にもなるなと感じた。
とえいえこの本の素敵なところはその体裁。
それぞれの短編のテーマになっている色彩の”紙”が要所に挟み込んである。
しかもその色合いは絶妙だし、その色や短編の雰囲気を表す紙質を選んである。
文庫本なのになんて豪華。
紙の本が貴重になっていくからこそ、装丁や体裁にこだわっている本が欲しい。
値段はそれなりに上がるだろうけれど、そもそも本の値段が上がっているし…。それならより素敵なものが欲しいと思う今日この頃。