べつに怒ってない
著:武田砂鉄
私の好きなラジオのパーソナリティーであり、ライターの武田砂鉄さんの本。
割とラジオを欠かさず聞いているのに、本を読んだことがなかった、と思って手に取ってみた。
武田さんのラジオが心地いいのは、元編集者だからか、「人の話を聞く・聞き出す」スタンスだから。
我が強いパーソナリティーだと、自分の意見ばかり発信したり、会話が盛り上がることを優先しがちだが、砂鉄さんは多少盛り上がりに欠けても、そのゲストだからこその話を聞き出してくれる。
かつ、砂鉄さん一人で話している時には、持論や感じたことをズバズバと話してくれる。
看板番組は週に1回だが、個人的にはもっと多くの頻度で聞きたい。
ラジオの話ばかりになってしまったが、この「べつに怒っていない」は雑誌の連載を単行本化したエッセイ集。
ひとつのエッセイが見開きで完結しているから、隙間時間でもサクサク読める。
そして、やはり、砂鉄さんの文章は、ラジオで聞いていた印象通り、だらりと垂れ流す感じの毒がある。
べつに誰かを攻撃したり、「世の中に物申す!」的な毒ではない。
「これって変だよね」
という毒を瓶からだらりと流している感じ。
その毒に触れてみるのも、触れないのも、自由な感じ。
個人的には「道でつまづいた時に声をあげて、周りを巻き込める勇気」の話がクスッとした。
非常に多筆な人だから、今度はエッセイ以外も読んでみよう。