著:小川洋子
さまざまな「からだ」についてのエッセイ集。
一編が短くて、1時間もかからずに読破。
あっさりとしつつ、でも一つひとつにしっとりした重さがあるエッセイだった。
私にとって思い入れのある人物もたくさん登場。
『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンを演じる福井晶一さん。
本を読みながら、まるで目の前で舞台が繰り広げられているかのような感覚だった。
そして最後のエッセイで響いた一節があったので引用。
いつしか親になり、両親が逝き、孫が生まれ、ふと気づくと次に死ぬのは自分の番になっていた。順番は大切だ。宇宙の摂理だ。ゆったりと宇宙の波に身を任せておけばいい。そうする以外に方法もない。
まだ小川さんの年齢まで達していないから、当てはまらないことも多いけれど、いつか心の支えになりそうだな、と思った言葉。
怖さや不安があっても、宇宙の摂理と言われれば仕方ない。