編:頭木弘樹
絶望した気持ちに寄り添うアンソロジー。
絶望したときは希望のある物語ではなく、さらに絶望するような物語を読む、という荒療治(笑)
でも悲しいときは泣いた方がスッキリするのと同様か。
<収録作品>
第1閲覧室「人がこわい」
・おとうさんがいっぱい(三田村信行)
・車中のバナナ(山田太一)
第2閲覧室「運命が受け入れられない」
・瞳の奥の殺人(ウィリアム・アイリッシュ)
・漁師と魔神との物語(『千一夜物語』より)
・鞄(安部公房)
・虫の話(李清俊)
第3閲覧室「家族に耐えられない」
・心中(川端康成)
・すてきな他人(シャーリィ・ジャクスン)
・何ごとも前ぶれなしには起こらない(キャサリン・マンスフィールド)
第4閲覧室「よるべなくてせつない」
・ぼくは帰ってきた(フランツ・カフカ)
閉架書庫 番外編―入れられなかった幻の絶望短編
気に入ったのは
「瞳の奥の殺人」と「鞄」。
どちらもしんしんと近づく運命が描かれていて、抗えない恐怖を感じた。
シャーリィ・ジャクスンも好きだなーと思ったけど、どうりでやっぱりアメリカ文学だった。
なぜ自分はアメリカ文学に惹かれるのか…いつか深掘りしてみたい。
アンソロジーはいろんな作者の作品に触れることができて、新たな世界が広がって楽しい。
同じ編者の本をもう何冊か読んでみようかと思う。