掌に眠る舞台

掌に眠る舞台

著:小川洋子

 

 

大好きな小川洋子さんの本を久々に。

装丁も美しくて、読む前からワクワクしてしまった。

 

一番好きだったのは装丁のモチーフにもなっている「指紋のついた羽」。

バレエの「ラ・シルフィード」がテーマで、俗世と想像の世界の間を彷徨うような作品だった。

登場人物の小学生がシルフィードにあてて書く手紙が本当に素敵。

こんな幻想的な文章を書く小学生なんて居ないのだけども。

 

 

ストラヴィンスキーの「春の祭典」をテーマにした「いけにえを運ぶ犬」も好み。

昔を回想しながら描かれる「春の祭典」の音楽の描写が、まるでここに音楽が流れているようだった。

 

春の祭典」はどうしてもバレエありきで聞いてしまうので、今度は純粋に音楽だけで聞いてみよう。

 

そして小川さんって、ラベリングする人が好きなのだな、と。

私の大好きな「薬指の標本」にも出てくるが、今回も分類してラベリングする登場人物がいた。

そしてそこで決まって大切にされているのは、〈小さなラベルにマジックで書き込む〉行為。

そういえば刺繍もよく出てくる気がする。

緻密な作業に尊さを感じているのか。

 

 

小川さんの新しめの本はまだ未チェックのものが多いので、ここからまた読んでいこうと思う。