バレエ伴奏者の歴史ー19世紀パリ・オペラ座と現代、舞台裏で働く人々ー
バレエ伴奏者の歴史ー19世紀パリ・オペラ座と現代、舞台裏で働く人々ー
著:永井玉藻
発売されてから読みたいと思っていた本!
私が長年通っていたバレエ教室は幸運なことに、幼児のクラスから生ピアノのレッスンだったため、バレエピアニストさんは身近な存在だった。
この本のタイトルで気になったのは、「バレエピアニスト」ではなく、「バレエ伴奏者」であるところ。
その理由は読み進めていくとすぐに判明した。
19世紀のパリ・オペラ座では、バレエレッスンの伴奏を弦楽器(ヴァイオリンorヴィオラ)で行っていた!!
そしてバレエの指導者は弦楽器を演奏しながら行っていた!!
これは驚きだった。
しかもその裏付けを、当時のパリ・オペラ座のオーケストラの契約書や、当時のバレエ指導者による覚書に沿って説明してくれて、とても興味深かった。
文体としては論文をカジュアルに読みやすくしたような感じで、中学生あたりでも楽しく読めるのではないだろうか。
ただバレエに関する知識がないと、すんなり内容が入らないかもしれない。その作曲家や振付師について、またバレエ団の背景について、可能な限り解説を織り交ぜてくれているが、もちろん膨大な知識の一部分でしかないため、初心者が読むと置いてけぼりになるかも(そもそもこれを読むのは専門家や上級者だろうが)。
永井玉藻さんは若手の研究者で、コラムなども面白いので、今後も書籍を出して欲しいと願う。